■■■建築に生きる 第40回 ガウディそしてバルセロナ■■■
2024.12.06
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第40回 ガウディそしてバルセロナ
バルセローナ万歳
1996年UIAバルセロナ大会に参加した。メセナ的大施設ではなく旧市街の多くの歴史建造物に分散する会場設営は見事だった。国際空港には世界の建築家へのウェルカム大看板。
「建築家」のお祭りが国家的イベントであり、バルセロナ全市が建築に湧いている。
ここでブラジル時代の建築家人生が一気に蘇って来る。ボスのJoaquim GuedesもパートナーのMiguel Pereiraも、ブラジリアのMoraes de Castroも普通にランブラス通りのカフェに居るのだ。憧れのサグラダ・ファミリアもカサ・ミラもグエル公園も市民の街角にある。
建築をやっていて良かったと感じる瞬間だった。建築が美しい街並みの中で輝き、人々を幸せにする。街には音楽が溢れ、街灯も手すりも、舗石もベンチも、その全てが芸術している街。そう、アントニオ・ガウディで埋め尽くされた街、バルセロナを堪能した。92年のオリンピックでの有森裕子銀メダルの力走も記憶に新しい。体育館は磯崎新の作品だ。
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ビルバオ&マドリード
2018年二度目のスペインはビルバオからバスク地方とポルトガル北部を経由しマドリードまでのバス旅だった。ビルバオは古い街並みとフランク・ゲーリーのグッゲンハイムとが見事に調和し、コールテン鋼とカラトラーバ橋梁の迫力はまさに欧州最大の製鉄のまちを感じた。
巡礼の道を歩くことはなかったが、聖地 Santiago de Compostela, Porto, Coinbraなどを経由し、Monsantoの岩の宿に宿泊し、セゴビアとマドリード他を満喫した。
カタルーニャとバスクは言語も人種も違い、歴史も文化も異なる。ガウディとピカソとがスペイン人であることも興味深い。この地から人類史に名を刻む芸術家がうまれたその背景を考えてみたが、不勉強の私である。ただ、世界史の一時期スペインとポルトガルとが世界を支配したのは史実であり、日本の近代化に影響を与えた。私はブラジル生活でラテン魂が宿りスペインも大好きだ。バスクのワイナリーでピノ・ノアールに触れ大ファンになってしまった。
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スペイン&ポルトガル
ブラジル人は明らかにポルトガルを上から目線で見るが、ポルトガルは故郷でもある。私もサンパウロに暮らし、Lisboa(発音はリシュボア)を懐かしく感じる。本国のポルトガル語はフランス語に似て発音が流れるようで美しい。ところがブラジル語は多くの外国語訛りが混入し発音は乱れている。私もリシュボアに行く前には意識して“正調”ポルトガル語を特訓するのだが、すぐに「サンパウロ生まれ」とバレてしまう。
リシュボアの港には大航海時代の記念碑があり、日本人の私はザビエルと種子島の鉄砲を思うのである。ポルトも美しい港町でポートワインと世界一美しい本屋Livraria Lelloがある。コインブラには世界最古の「大学」があって、ファドは男の寮歌だったそうだ。 ポルトガルの闘牛はスペインと違い牛を殺しはしない。この違いが両国民の農耕民族と狩猟民族の違いである。南米で温和なブラジル人気質と、スペイン語系他国の激しい気性の違いはまさにそれである。
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記・南條洋雄
■第1回 建築を愛しなさい■第2回 建築家=指揮者
■第3回 小さな村の物語
■第4回 建築家という職能
■第5回 デザイン監修論
■第6回 まちづくりに参加する
■第7回 リノベーション最前線
■第8回 住宅が建築の原点
■第9回 美しい国づくり
■第10回 美しい職場・楽しい職場
■第11回 建築家は芸術家か
■第12回 建築家も地震と戦う
■第13回 建築家は旅をする
■第14回 マンションと呼ばないで!
■第15回 建築家という生業
■第16回 建築と神事
■第17回 建築家は外交官
■第18回 正月の警鐘
■第19回 協働・自働・己働
■第20回 建築家は二兎を追う
■第21回 コンペという魔物
■第22回 ボランティア考
■第23回 リゾートを建築する
■第24回 スケッチは楽しい
■第25回 音楽は楽しい
■第26回 木とのつきあい
■第27回 未知の国ブラジル
■第28回 気になる伊東屋
■第29回 JIA/IAB/UIA
■第30回 首都機能移転
■第31回 建築家は車が好き
■第32回 ウェルシティ横須賀
■第33回 幕張ベイタウンパティオス
■第34回 インドに注目
■第35回 代官山で建築する
■第36回 建築家会館
■第37回 田園調布
■第38回 アメリカ建築と私
■第39回 チャオ・イタリア